コラム

障害福祉サービス受給者証の取得方法と受けられるサービス

障害があることで仕事や生活に不便を感じることはありませんか?そんな時、「サービスを受けたい」と行政に申請することで発行されるのが「障害福祉サービス受給者証(受給者証)」です。受給者証は福祉サービスを円滑に受けるためには必要不可欠な証明書です。しかし、普段から携帯する証明書ではないため、馴染みのある証明書ではありません。
本コラムでは、
「受給者証を発行したいけど、取得方法が分からない」
「受給者証を手にしたらどんなサービスが受けられるの」
といった悩みを解決するために、取得方法から利用できるサービスまでをご紹介します。
ぜひ、参考にしてみてください。

●受給者証とは
障害福祉サービス受給者証とは「受給者証」とも呼ばれ、障害や病気によって仕事や日常生活に困っている人が各市町村に申請することでもらえる証明書です。障害者福祉支援法に基づき、障害者が尊厳のある日常生活や社会生活営めるよう、必要なサービスに対する給付や支援を行政から受けることができます。福祉サービスには要介護の人を支援する「介護給付」と仕事やスキルを身につけることのできる「訓練等給付」があります。障害者手帳と混合されることが多いですが、申請する機関や発行元も異なりますので注意しましょう。
●受給者証は何のためにある?
受給者証は希望する事業所からサービスを受けるためにあります。受給者証の中には10桁の受給者証番号が明記されるとともに、障害の種別や交付の年月日、市町村番号などが書かれています。その他、各ページには、給付内容やサービスを受けている事業所の詳細ページ等が続きます。受給者証は第三者に提示することによって、所持している利用者が今必要としているサービスや状況が分かるよう作られている証明書ともいえます。
●実際に取得する内容と方法
行政から受給者証を発行してもらうためには、サービスの必要性を総合的に判断してもらわなければなりません。取得の際に必要な書類内容と取得方法について紹介します。
①相談・申し込み
障害福祉サービスを受けたいと考えたら、まずは自治体の障害保険福祉課や障害福祉課にて必要な書類をもらい相談支援事業所の申し込みを行います。申込の際には、障害者手帳または、主治医からの診断書、自立支援医療の受給証を持っていくとスムーズです。
②サービス等利用計画案の提出
市役所にて選出された相談支援専門員のもと、サービス等利用計画案の計画を立て市町村に提出します。サービス等利用計画案の中では、取得後に利用したいヘルパーや就労事業所に行くための利用目的や支援内容を設計していきます。専門員と共に計画案を作ることで、サービスの必要性が具体的に盛り込まれた利用計画案を作ることができます。また、利用計画案は相談支援専門員だけでなく、両親や兄弟、主治医などといった関係者と一緒に立てることもできます。
③訪問(聞き取り)調査
聞き取り調査では日頃の様子や生活する上で不便なことなどを質問形式で答えます。隠さずに伝えることで1から6の区分が的確になります。区分の位が高いほど、サービスを受けられる時間が増えたり、選べるサービスが増えるためしっかりとお話をされるといいでしょう。調査は市町村に設けられている相談室で行われる場合や自宅に訪問して行われる場合があります。特にヘルパーなどを利用する場合は自宅にて聞き取りを行うことが多くなります。また、介護給付を受けるためには医師の意見書と区分認定調査が別に必要となります。
④支給決定
サービス等利用計画を市町村に提出したら市町村の支給決定を待つのみです。決定までは即日から2ヶ月ほどかかる場合があります。サービスを受けたい場合にはできるだけ速やかに行動することがおすすめです。
●受給者証の有効期限と更新に注意
障害福祉サービス受給者証はサービスごとに有効期限が定められています。基本的には有効期限が切れても、すぐに給付が止まるということはありませんが、有効期限後もサービスを受けたい場合には更新手続きを行うようにしましょう。更新月の2〜3ヶ月前に役所から届く更新の案内には注意が必要です。不安な場合には自治体に相談しましょう。
●受給者証をもっていればこんなサービスが受けられる
受給者証を取得すると様々なサービスを受けることができます。「介護給付」と「訓練等給付」それぞれのサービスを紹介します。
【介護給付】
居宅介護
重度訪問介護
重度の肢体不自由者、または、重度の知的・精神障害者で常時介護が必要な人が対象となったサービスです。支援区分は4以上が必要となります。身体介護や家事援助を行う他、外出時の移動中の介護や入院中の支援を受けることができます。
同行援護
一人で外出することが困難な視覚障害者の方が対象となったサービスです。外出時の危険回避や代筆、代読といった援護、援助を行います。
行動援護
知的または、精神障害者で、行動障害などによって行動の際に常時介護が必要な人を対象としています。行動する際に伴う危険を回避するための援助、外出時の介護を受けることができます。支援区分3以上が必要となります。
重度障害者等包括支援
重度の障害により、常時介護を必要とする方で、意思疎通に著しい支障がある方が対象です。支援区分6が必要となります。名称の通り、色々なサービスを包括的に利用することができます。サービスには訪問介護や重度訪問介護、同行援護、行動援護に加えて、生活介護や就労移行支援などがあります。
短期入所(ショートステイ)
自宅で介護を受けている方が介護を行う人の事情により、介護を受けることができない場合に一時的に利用することができます。支援区分としては1以上が必要となります。障害者支援施設等に入所し、身体的介護や必要なサービスを受けることができます。
療養介護
医療機関に長期入院している方で、医療と合わせて常時介護を必要とする人が対象となります。支援区分は細かく分岐しますが、区分5が必要となります。サービスとしては、主に昼間に身体機能の改善を目的とした機能訓練や医学的な管理を目的に介護や日常生活上の援護を受けることができます。
生活介護
常に介護が必要な方で、50歳未満の方は支援区分が3以上、50歳以上の方は支援区分が2以上必要となります。身体介護、家事援助のほかに、創作的活動の提供や生産活動の機会の提供、生活能力の向上を目的とした支援が行われます。
施設入所支援
日中だけでなく夜間の支援が必要な方が対象となります。夜間の居住場所の提供や身体介護、食事の提供や健康の管理といった支援を受けることができます。

【訓練等給付】
自立生活援助
障害を持ちながら一人暮らしをされている方で、理解力や生活力の面で1人だけで生活を送るのは不安だという方が対象となります。自宅を定期的に訪問し食事や洗濯、掃除といった家事から、金銭管理、健康状態等を支援します。生活を送る上での必要な情報提供や相談にも応じてくれます。
同行援護
一人で外出することが困難な視覚障害者の方が対象となったサービスです。外出時の危険回避や代筆、代読といった援護、援助を行います。
共同生活援助(グループホーム)
支援区分がなくても利用することができるため、サービスを受けたいと考える全ての方が対象となります。その名の通り、共同で生活を行いながら、生活上の支援を受けることができます。グループホームといっても、一軒家スタイルやマンションタイプなど様々なタイプがあるので、自分あったものスタイルを見つけてみましょう。
自立訓練(機能訓練)
主に身体障害者や難病罹患者で生活能力の維持、向上のために一定の支援が必要な人が対象となります。具体的には入所施設や病院を退所・退院した人、特別支援学校を卒業した人が挙げられます。通所施設や利用者の自宅で、理学療法や作業療法などのリハビリテーションを受けることができます。
自立訓練(生活訓練)
生活する上で、生活能力の維持・向上等の一定の支援が必要となる方が対象となります。入浴、排せつ、食事といった自立した生活を送るために必要な訓練を行います。また、地域で生活を送るためのルールやマナーなどの相談や援助などといったサービスも利用できます。
就労移行支援
一般就労が見込まれる人で18歳から65歳未満の障害のある人が対象となります。生産活動や職場体験、その他の就労に必要な知識やスキル向上のための訓練を行う場所です。就職活動の支援や就職後の定着支援も受けることができます。
就労継続支援A型
一般就労が困難な障害者のうち雇用契約に基づき就労ができる人が対象のサービスです。最低賃金以上の賃金が保証されており、生産活動の機会の提供や就労に必要な知識やスキル向上のための訓練を受けることができます。
就労継続支援B型
一般就労が困難な障害者のうち、親身の状態や年齢等の事情により、利用が適当と認められる人が対象となります。A型と同じように生産活動の機会の提供や就労に向けてのスキルアップを行いますが、雇用契約がないという特徴があります。賃金は工賃や成果報酬が多くなります。
就労定着支援
就労移行支援等を利用したのち一般就労を達成し、就労継続から6ヶ月を経過した人が対象となります。仕事を続けることに対して不安や迷いを感じている方が、継続して仕事を行えるように支援します。企業や主治医と連携を図るため、生活や仕事に関する問題に対してより具体的な相談や助言を受けることができます。

●まとめ
障害福祉サービス受給者証の取得方法と利用できるサービスについて紹介してきました。受給者証を持っていることで自治体が展開する様々な福祉サービスを受けることが可能となります。「取得したい」と考えている方はぜひ、窓口に足を運んでみましょう。

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