コラム

失業手当の受け取り方と手当の中身

「失業」は、会社の倒産や、人間関係の悪化、うつ病などのメンタルヘルスによる健康状態の悪化などによって働けなくなるなどある日突然やってくるものです。次の就職先を安心して見つけるために失業手当はあります。本記事では、失業手当の受け取り方とその中身について紹介します。

失業手当とは
失業手当は雇用保険に記されている「失業等給付」を指した名称となります。失業中の生活維持に不安を覚えることなくスムーズに再就職するために行われる手当となります。失業手当を受け取る際の大前提となるのが雇用保険に加入していることです。正社員で採用されている人の多くは雇用保険に加入しているはずですが、まれに海外勤務や関連会社への出向により取締役に就任した際などに雇用保険を脱退していたという事例もあります。不安な方は給与明細を開き雇用保険料が引かれているのか確認してみましょう。
自己都合なら1年、会社都合なら半年以上雇用保険に加入していること
失業保険は雇用保険に加入していることを大前提に置いた上で一定の期間に雇用保険に加入していることが条件となります。雇用保険に加入している期間は「被保険者期間」と呼ばれます。自己都合で退職した場合、雇用保険に「12ヶ月以上加入」していることが要件です。在籍期間が11ヶ月未満の場合は取得されません。しかし、1年以内で退職した場合でも「退職前2年間」のうち2つの会社での加入期間が合計して12ヶ月以上になり、再就職前に失業手当を受給しなかった場合には受給対象者となります。倒産や解雇などといった会社都合で退職した場合には、退職前の1年間に6ヶ月以上加入していることが条件となります。自己都合の場合は1年勤務、会社都合なら半年勤務した時点で受給資格を得ることができると覚えておきましょう。
失業保険はどのくらいもらえるのか
受給資格をクリアした上で確認しておきたいのが失業保険の日額です。失業保険の正確な計算方法を頭に入れておくことで退職後の生活も変わってくるはずです。ぜひ、参考にしてみてください。
退職後に受給できる一日あたりの失業手当は在籍中にもらっていた給与を日額換算した額の5割〜8割となります。60歳以上65歳未満は4割〜5割と なります。給付率の差は極端に安い月給をもらっていた人でも最低限の生活が送れるように8割と設定されています。逆に高い月給をもらっていた人は5割程度を受給するようになります。計算方法は以下の手順で行います。

① 退職前6ヶ月間にもらった給与の総額を計算します
② 総額を180で割り過去半年間の日額を抽出します
③ 抽出した額に支給額または、年齢別の給付率をかけた額が失業手当の日額です

注意点として失業手当は年齢別に上限額が定められています。例えば退職時に45歳以上で60歳未満の場合一日当たりの上限額は約8,400円となります。在職中に100万円の給与をもらっていたとしても8,400円かける30日換算でいくと月額25万円ほどの給付となります。
障害者総合支援法の制定
2013年には障がい福祉の更なる拡充を図るため、従来の「障害者自立支援法」が法改正され、名称を「障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)」と改め、施行されました。
「障害者自立支援法」から「障害者総合支援法」と改正されることで、新たに基本理念(第1条の2)が制定されました。
失業手当は何日分もらえるのか
失業手当をもらえる日数は「所定給付日数」と呼ばれています。所定給付日数は、雇用保険に加入していた期間によって決まります。10年未満加入の人は90日、10年以上20年未満加入の人は120日、20年以上加入になると150日となります。勤続30務めた場合でも手当が5ヶ月のみと聞くとがっかりする方も少なくないはずです。そこで、雇用保険制度では「自己都合」と「会社都合」という退職理由に合わせて例外的な措置が取られるようになっています。例えば自己都合で退職した場合、30年勤めた人でも150日しか手当を受けることができないのに対して、会社都合による退職の場合は1年加入すれば180日に手当が伸びるようになります(45歳以上60歳未満の場合)。さらに5年以上加入で240日、10年以上加入で270日と換算されていきます。失業手当は自己都合よりも会社都合にこだわって退職することで優遇されることが多いといえます。
失業手当はすぐには受給できない⁈
自己都合によって失業した場合、失業手当は申請から受給されるまでに3ヶ月かかるようになります。「給付制限」と呼ばれ、会社都合の場合には発生しない制限となります。失業保険は「失業」という名の事故に備えるための給付となっており「会社が嫌だから」などの自分本位で退職した場合にすぐに給付をしてしまうことは制度の趣旨に背くこととなります。また、自分から辞めたつもりはなくても会社からもらった離職票には自己都合となっている場合も少なくありません。ハローワークで異議申し立てをすることで会社都合に変更することも可能ですが自己都合のままになってしまうこともあります。「退職しても失業保険があるから」と安易な気持ちで退職を勧めてしまうと、給付を受けるまでに蓄えがたりなくなってしまうということになりかねませんので注意しましょう。
失業手当取得までのスケジュール
では、実際に失業手当を取得するためにはどのような行動をとればいいのでしょうか?退職してから手当をもらうまでのスケジュールを紹介します。決められたスケジュールをこなさなければ手当を受給できませんので注意しましょう。
①離職票を取得する
ハローワークで行う雇用保険手続きには離職票が必要です。離職票は退職してから一週間ほどで勤めていた会社から送られてきます。
②自宅を管轄するハローワークで手続き
離職票が届いたらできるだけ早く自宅を管轄するハローワークへ行きましょう。最初にハローワークで手続きした日は「受給資格決定日」と呼ばれます。受給資格決定日から7日間は「待期」期間となり手当の支給はありません。待期期間を経てはじめて受給資格を得ることになります。
③受給説明会に出席する
最初にハローワークで手続きを行なった段階で、1〜2週間後に行われる「受給説明会」に出席するように言われるはずです。受給説明会では雇用保険制度の仕組みや受給する際の注意点、提出書類の書き方など詳しい説明を受けることができます。
④失業認定日に出席する
最初の手続きから4週間後に設定されているのが第一回失業認定日です。失業認定日とは失業期間中に就職活動をしているか、別の収入は得ていないかなど項目に合わせた自己申告書類を提出する日となります。認定期間中に就職活動をしなかったり、アルバイトで収入を得ていた場合には手当が支給されません。会社都合で退職した人は第一回の失業認定日より支給が確定し、数日後に手当が口座に振り込まれます。
⑤第2回失業認定日に出席する
自己都合によって退職した人の場合、第一回の失業認定日から3ヶ月+1〜3週間後に設定される第2回失業認定日に出席することで最初の手当が振り込まれます。第2回失業認定日までの3ヶ月間は手当が発生しません。
失業手当を手続きした後にアルバイトは可能か
失業手当を受給している際には一切収入を得てはいけないというわけではありません。就職活動中は履歴書を書いている時間よりも応募をして待っている時間の方が長いと言われるほど時間に余裕があるはずです。在職中は朝から晩まで仕事をしていた人が退職した途端に家に引きこもってしまっては体調不良も危惧されます。そこで、手続き後のアルバイトについてシーン別に紹介します。

① 給付制限期間中のアルバイト
自己都合で退職した人は待期満了後の給付制限期間中は全くの無収入となります。したがって、給付制限期間内に収まる範囲でのアルバイトは法的にも全く問題ありません。手当が発生しないため何らかのアルバイトで収入を得ておくと安心でしょう。
② 手当支給開始後のアルバイト
手当が支給されている最中にアルバイトした場合は、失業認定日にアルバイトをしたことを報告する必要がありますが、働いてはいけないという決まりはありません。アルバイトをした報告をすると、稼いだ分だけ不支給となりますが不支給分は支給が後回しになるだけで消滅するわけではありません。就業手当を受給しないかぎり、所定給付日数以降のスケジュールで支給されるようになります。無収入となる期間を先延ばしにできるという意味ではアルバイトをする意義はあるといえるでしょう。
③ 手当支給中の収入額が一定額以下であればダブルで支給される
支給期間中に収入を得た場合先送りになると前述しましたが、一定額以下であれば手当は先送りされることなく通常のスケジュールで支給されます。手当だけでは生活が難しく家計を補助する目的で行われる短時間の労働は認められる可能性がありますのでハローワークに相談してみましょう。
●まとめ
ノーマライゼーションの理念を実現するためには、今日でも多くの課題が残されていますが、障がい福祉の分野は日進月歩の歩みを続けてきました。
「障害者総合支援法」は現在の障がい福祉を支えている法律です。
法律が制定されるまでのあらましや、障がい福祉の理念を理解することは、私たちにとって豊かなノーマライゼーション社会を実現させるための一助になると言えるでしょう。

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