コラム

障がい者グループホームの種類と利用方法とは

日々の暮らしのなかで、「障がい者グループホーム」ということばを一度は耳にしたことがあるかもしれません。
しかし、具体的にどのようなサービスを受けられるのか、制度の内容については知らない方が多いのではないでしょうか。
ここでは、知っておくと役立つ「障がい者グループホーム」について詳しく解説します。

共同生活援助とは?
障害者総合支援法が定める障がい福祉サービスのなかに、「共同生活援助」という支援制度があります。
「障がい者グループホーム」は、「共同生活援助」の制度に基づいて実施や運営がなされているサービスです。
そもそも、障がい福祉サービスの種類は、介護を中心とする「介護給付」と、生活訓練などを中心とする「訓練等給付」の二つに大きく分かれます。
「共同生活援助」はこのうちの「訓練等給付」に位置付けられるサービスです。
訓練等給付で提供されるサービスは、日常生活のサポートや日常動作の訓練を行うための支援サービスと、就労のための支援を行うサービスの二つに大きく分けられます。
訓練等給付で提供している、日常生活のサポートに関わる福祉サービスは以下の2種類で
【訓練等給付で利用できる生活支援のサービス】
①共同生活援助
夜間や休日、共同生活を行う住居で、相談、入浴、排せつ、食事の介護、日常生活上の支援を行うサービス。本コラムで取り上げる「障がいグループホーム」を含みます。

②自立生活援助
一人暮らしに必要な理解力・生活力等を補うため、定期的な居宅訪問や随時の対応により日常生活における課題を把握し、必要な支援を行うサービス。

なお、本コラムで取り上げる「共同生活援助」(①)と似た名前で混同されがちなサービスとして、上記の「自立生活援助」(②)が挙げられます。
「自立生活援助」は、既に単身等で居宅している利用者が対象の居宅支援型のサービスであり、「共同生活援助」とは異なるサービスです。
障がい者グループホームとは?
障がい者グループホームとは、障がいのある方が地域住民との交流が確保される地域のなかで、家庭的な雰囲気の下、共同生活を営むための住まいの場です。
厚生労働省によると、障がい者グループホームの具体的な利用者としては、たとえば、以下のようなケースが想定されています。

①単身での生活に不安があるため、一定の支援を受けながら地域のなかで暮らしたい方
②一定の介護を必要とするが、施設ではなく地域のなかで暮らしたい方
③施設を退所した後、地域生活へ移行するにあたり、いきなりの単身生活には不安がある方

障がい者グループホームは、原則として障がいのある18歳以上の方が利用できますが、15歳以上の障がいのある児童も、児童相談所長が必要性を認めた場合には利用可能です。
また、障がい者グループホームの利用にあたって、障がい支援区分の等級は問われません。
しかし、障がい支援区分の判定結果によって、グループホームでの世話人や支援員の配置基準が変わるため、基本的には支援区分の判定を受けることが必要とされています。
障がい者グループホームの種類
障がい者グループホームには提供するサービス内容に応じて4つの種類があり、「介護サービス包括型」、「外部サービス利用型」、「日中サービス支援型」、「サテライト型」というタイプに分かれています。
各タイプの特色は以下の通りです。

・介護サービス包括型
入居者は平日の日中は就労継続支援事業所などに通う方が多いため、主に夜間や休日にサービスを受けることになります。
主なサービス内容は、職員が入浴、排せつ、食事などの介助や、調理や洗濯、掃除などの家事、その他の必要な日常生活上の援助や相談を行います。
また、利用者の就労先や日中活動サービスとの連絡の調整や、余暇活動などの社会生活上の援助も実施されます。
障がい支援区分が「4」「5」「6」などの障がいが重い方が利用する傾向があります。

・外部サービス利用型
介護サービス包括型と同様に、利用者は日中外で過ごし、夜間や休日はグループホームで過ごすため、主に夜間や休日にサービスを受けることになります。
外部サービス利用型のグループホームでは、家事や日常生活上の相談などはグループホームの職員が対応し、食事や入浴、排せつなどの介護は外部の居宅介護事業所に委託して行われます。
障がい支援区分が「1」「2」「3」などの障がいが軽い方が利用する傾向があります。

・日中サービス支援型
2018年に制度化された、比較的新しいサービスです。
平日の日中も支援を必要とする障がいのある方が、日中や夜間を含めてサービスを受けることができます。
重度の障がいのある方や、障がいのある高齢者などが主に利用しています。
利用者一人ひとりの障がいの状況や体調に合わせた支援が必要とされるため、グループホームに配置される世話人や支援員の人数が手厚いのが特徴です。

・サテライト型
障がいのある方がグループホームの近くにあるマンションなどに一人で生活し、必要に応じてグループホームからの支援を受けられるサービスです。
グループホームを出て一人暮らしを目指す中・軽度の障がいのある方が利用する傾向があります。
このサービスではグループホームを本体として、マンションなどを出先と位置付けているため、利用者はグループホームにおけるサービスを同じように受けることができます。 利用できる期間は原則として2年間です。
障がい者グループホーム(共同生活援助)の利用の方法
障がい者グループホームを利用する際には、障がい福祉サービスの「共同生活援助」を受給することが必要です。
受給対象となるのは、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者、難病患者などですが、「日中サービス支援型」においては、常時介護を必要とする方が対象となります。
また、身体障がい者については、65歳未満の方や65歳になる日の前日までに、障がい福祉サービスやそれに準じるものを利用したことのある方に限られています。
共同生活援助の支援サービスにおいて、利用できる年齢の制限はありません。
しかし、サービスを継続するには3年ごとの更新が必要です。
共同生活援助を受給し、障がい者グループホームを利用する際の具体的な流れは以下の通りです。
【障がい者グループホーム(共同生活援助)の利用の流れ】
①希望する障がい者グループホーム(共同生活援助)事業所を探す
②市区町村窓口で利用申請を行い、認定調査を受ける
③受給者証の発行、事業所との契約、利用開始 ①の障がい者グループホーム(共同生活援助)の事業所は、お住まいの市区町村の障害福祉担当の窓口で紹介を受けられますし、インターネットで事業所を探して直接申し込むこともできます。
②の段階では、利用したい事業所を決めたら、お住まいの市区町村の障害福祉課に障がい者グループホーム(共同生活援助)の利用の申請が必要です。
申請後は窓口の担当者による聞き取り調査と、共同生活援助のサービス支給認定のための会議を経て支給が決まります。
また、サービスを利用するにはサービス等利用計画案の提出が必要です。
一般的には、市町村の窓口で指定特定相談支援事業者が作成しますが、自分で作成することもできます。
③の段階で、障がい者グループホーム(共同生活援助)の利用が正式に決定すると、障害福祉サービス受給者証(以下、受給者証)が発行されます。
受給者証は、障害福祉サービスを受けるために必要な許可証であり、障害者手帳とは別の物です。
受給者証には氏名や住所など利用者の個人情報や、受給証の期限、支給決定期間、受けられるサービスの種類などが書かれています。
なお、受給者証には項目ごとに個別の有効期限があるため、取得後には定期的な更新を忘れないように気を付けましょう。
受給者証を事業所へ持参し、契約を行うと利用ができるようになりますが、事業所ごとに契約手順は異なる部分があるため、確認が必要です。
障がい者グループホーム(共同生活援助)にかかる費用
障がい者グループホーム(共同生活援助)の利用料は、利用者や配偶者の前年度の所得に応じて変わりますが(1割負担)、あらかじめ決められた一定額以上の負担は生じません。
具体的な利用料金の算出方法は以下の通りです。
【障がい者グループホーム(共同生活援助)の利用料金】
・生活保護世帯…負担上限月額0円

・市町村税非課税世帯…負担上限月額0円
(3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります)

・市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)…負担上限月額9,300円
(収入が概ね600万円以下の世帯が対象になります)

・上記以外…負担上限月額37,200円
※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く(20歳以上の入所施設利用者)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「上記以外」となります)

住民税が0円になるほど収入が少ない方は、国から毎月1万円ほどの家賃の補助を受けることができます。
また、自治体により異なりますが、国からの補助以外にも独自に家賃の補助を行っている地域もあるため、お住まいの地域での確認が必要です。
●まとめ
障がいのある方が一人暮らしをするさいに、知っておくと心強いのが「共同生活援助」の支援制度です。
いきなり単身生活をはじめることに不安がある方や、必要な支援を受けながら住み慣れた地域で生活をしたい方など、利用者一人ひとりのニーズに合った支援を選ぶことができます。
実施されているサービスや特色などは事業所ごとに異なるため、気になる方は事前にいくつかの事業所を見学しておくと安心です。
そうすることで、自身が希望するライフスタイルに合った支援サービスが見つけられるでしょう。

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